立派な大人には、なれなかった

ついに結婚もせぬまま30歳になった。

この年になると、昔の友人の中でも結婚してない奴のほうが少なくなってきた。
あせる。

そこそこの大学を出て、そこそこの会社に入って、そこそこの年収をもらっているからこそあせる。
　
あせるが出会いも特になく、平凡な毎日が過ぎていく。

預金通帳の残高も意味もなく増えていく・・・。
（1000万円を突破していた）
　
そして今日も一人、仲のよかった友人から電話がかかってきた。

結婚するんだと。
　
「ああ、そうか・・・」
　
20代の頃なら大して仲良くなかった奴にですら、大げさに「おめでとー」って言ってたのに、今日はその一言が言えなかった。

それどころか、結婚式の日は海外出張が入っているとか嘘ついて断ってしまった。

きっとお前の幸せな顔を見るのが、嫁さんの顔を見るのが、嫌だったんだ。

昔はあれだけ仲がよかったのにな。ごめんな。本当、ごめんな。。。
　
　
他人の幸せを喜び、不幸を悲しむ。そんな立派な大人には、僕はなれなかった。