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『疲れない脳をつくる生活習慣』と『仕事はうかつに始めるな』

 ライフハッカーを志すなら、まず読むべき2冊は『疲れない脳をつくる生活習慣』と『仕事はうかつに始めるな』






「もっと日々の質を上げたい」とか「ライフハックのスキルを上げたい」といった相談をもらうことが多いが、そういうライフハッカーを志す人たちにどういう本を勧めるのかは結構悩ましい。ライフハック関連の本なんて無限にあるし、そのレベルも観点も様々。

誰が書いているのかというのも様々。著者が起業家なのか、医師なのか、コンサルタントなのか、ブロガーなのか、VC・投資家なのか…それぞれ癖があり、自分の人生にストレートに応用することはできない。

著者1人の経験に基づくノウハウが展開される場合もあれば、学術研究を数百件紹介しながら科学的に検証されたライフハックのみを読者に紹介していくものもある。

ただ、良い本と悪い本があるということが言いたいのではなく、重要なことは読者にマッチした本が見つかること。それでゴール達成とも言える。例えば著者1人の経験を過度に一般化した内容の本と、学術研究を数百件紹介する科学的なタッチの本を比べると後者の方が一見良さそうだが、必ずしもそうとは限らない。

これからライフハックのスキルを上げていきたいというライフハッカーを志す人たちが読むのであれば、尚更。なぜなら、学術研究が数百件紹介されていても、それらを全部実践できるかと言ったらできない。しかも、そういう本は内容はしっかりしているが、読むのに時間がかかるし、読み終わった頃には読了することに満足してしまいやすい。実践に向けた体力は残念ながら残っていないとも言える。

そこで、ライフハッカーの卵にお勧めする本の絞り込み方として、

①読み終わるのに時間がかからない!

実践が何よりも重要。読むことに満足しないために短いほうが良い。

②ある程度科学的な研究にもとづいている!

ヘルスケアやライフハック関連の研究はどんどん進んでいる。

③初心者が取り組みやすいものが多い!

例えば 高額なIoT端末を購入しないといけないとなると取り組めない。

④著者自身、著者以外の多数の人がそのノウハウを充分に実践済み!

これは意外に重要。まずは著者自身が実践しているのかどうかをチェック。著者自身が実践している内容だと、実践する上でのコツや躓きポイントなどが網羅されていることが多い。「それって当たり前では?」と思われるかもしれないが、「私はこの方法で患者1万人を治療した」という本はこれを満たさないし、他の名著を引用するだけの場合も満たさない。

次に著者以外の実践者が多数いること。著者以外の人で上手く行っているのなら、ノウハウの一般性が高く、読者が上手く習得できる可能性もすなわち高いといえる。例えば『鬼速PDCA』は両方を満たしている一例であろう。

⑤数年以内に書かれている!

ヘルスケアやライフハック関連の研究はどんどん進んでいる。5年以上前の本は名著でない限り初心者には勧められない。名著は分厚い可能性が高く読むのに時間がかかるので、結局勧められない。


以上のような、5つの点が絞るポイントになるだろう。そしてやっと本題だが、これらの項目を満たすのが、石川善樹さんの次の2冊である:

『疲れない脳をつくる生活習慣―働く人のためのマインドフルネス講座』
『仕事はうかつに始めるな ―働く人のための集中力マネジメント講座』
『疲れない脳をつくる』でマインドフルへ

これはライフハッカー入門として最適な1冊である。ライフハック基礎編に必要な項目をある程度カバーしている。テーマとしては「いかにマインドフルに過ごすか?」と位置づけられており、第1章では瞑想の基本を学ぶ。ここでも瞑想の最低限を学ぶだけである。いかに初心者が挫折せずに習慣化できるか、というところに焦点があるように感じる。著者の方は長年ダイエットの研究をされているらしく、習慣化の極意がこちらでも紹介されている。


著者について

石川善樹
1981年、広島県生まれ。
東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。専門は予防医学、行動科学、機械創造学など。講演や雑誌、テレビへの出演も多数。著書に、『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『ノーリバウンドダイエット』(法研社)などがある。

ちなみに、瞑想の本はたくさん出版されていて、良いモノも多いが、それは習慣化してからのほうが良いかもしれない。瞑想特化で1冊なので、上級者向けの話も多いからだ。それよりかは、最低限のことを知識として知り、あとは実践しまくり、習慣化させる。さらにステップアップしたければ、そういう本も読めばよいだろう。

続く第2章では睡眠の話だ。いかに上手に眠るか。そのために、いつ入浴すべきか。いつ運動すべきか。ブルーライトも当然カット。カフェイン、アルコールのルールは、などと続いていく。ということで基本的な知識はすべて載っている。睡眠に特化した本も多数見かけるが、基本編ができていないのに、そういうものに手を出しても意味はない。まずはこの2章を固めよう。

そして第3章は姿勢術。腰痛や肩こり対策の話、デジタル機器対策(PCモニターやキーボードの理想的な位置)などが解説されていく。長時間座ることのリスク、そして健康的な座り方などにも迫る。

第4章は食事だ。時間のないビジネスパーソンがいかに賢く食事をとるか。仕方なくコンビニで昼食を買うにしても、どういう組み合わせが健康的で集中力を発揮できるのか。朝食はどうあるべきか。食べ方や食べる速度にも踏み込む。私はこの内容に結構影響を受けている。食事や栄養学はライフハックの重要要素の一つであり、これもまた大量に本が売っているし、ビジネス雑誌等でも度々特集されているが、基本を実践できるようになるだけで大分、日々が快適になるはずだ。

第5章は総集編のような形となっている。1日を通して、どういうことに気をつけるべきか、という観点の話が多い。

『仕事はうかつに始めるな』でゾーンへ

こちらは同じ著者による続編だ。前作がモヤモヤしたストレスフルな毎日からいかに抜け出すか、いかにマインドフルになるか、という本だった。食事、睡眠、姿勢に気をつけ、さらには毎日瞑想も5分行う。そうやってライフハッカーとしての土台を整えていくのだ。それが終われば、ライフハッカーに片足を突っ込むことになるが、両足を突っ込むにはさらにこの本の内容を身につけたい。こちらは「集中」にフォーカスした本である。

平均的なビジネスパーソンは、1時間に30回メールチェックをしているらしく、色々なことで常に気が散っており集中できていない。メールチェックだけではなく、ちょっと単語の意味をググったついでに、気付けば数十分もネットサーフィンしてしまっていた…ということは私も度々やらかしてしまう。

まずはちゃんと仕事をできる態勢を整えるために、「気を散らせるモノを遠ざける」「いやいや始めない」「終わりの時間を決める」という3点が強調されている。これらは一見当たり前だが、どれだけ実践できているだろうか?

基本編の解説のあとには、より「攻め」の要素が強い「ゾーン」の話が始まる。超絶的な没入状態を実現するフローに入るために何をすべきなのか。

本書の後半以降に解説されるのは『PEAK』(日本語タイトル:『超一流になるのは才能か努力か? 』)という名著のエッセンスを紹介した上で、ビジネスパーソンがそれを活かしていくためにできることが紹介されていく。これは非常にお勧めの本だが、少々ボリュームがあり、読むだけで楽しい&疲れてしまうので、入門レベルとしてはお勧めしていない。代わりに『仕事はうかつに始めるな』でその最低限の知識を仕入れるのが賢い戦略だと思う。

第5章以降も読み物として面白いが、ライフハッカー入門としてはこの本の第4章まででOKと思っている。

終わりに

いくら本を読んで頭でっかちになってしまっても、実践できていなければ意味がないのがライフハックである。今回紹介した本はどちらも内容の量はそんなに多くないので、読むのが早い人であれば2時間以内に読み終わるだろう。パパッとこの2冊を読み終え、内容を身につけるだけでかなりの効果が期待できるはずだぜ。

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