このブログを検索

リース取引の実際

リース取引の実際〈第4版〉(日経文庫)

日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 471,830


パッケージ・リースとは、機械設備のリースに加えて、不動産の賃貸借、動産の割賦販売やレンタル、金融など各種の取引を組み合わせた複合取引のこと。病院、ホテル、レストラン、工場、などが対象となる。ホテル建設なら、リース会社が機械設備調達だけでなく、事業計画立案から用地買収、建物の設計施工などすべて一括して引き受ける。機械設備はリース、不動産は割賦、事業資金は融資、のように異なった取引でサービスを提供する。事業経営のノウハウまで提供することもあるのでコンサルティング・リースともいわれる。

ユーザはサプライヤーと交渉し、売買契約を前提とした交渉を行なう。次に、リース会社にリースを申し込み、リース会社がユーザの信用調査を行ない、リース契約締結。リース会社はサプライヤーに物品を発注し、売買契約を締結する。サプライヤーはユーザに物品を納入し、リース開始。

リースに向いているのは技術革新や陳腐化のスピードが速い物件(コンピュータなど)、購入価格が高い物件、管理事務に手間がかかる物件(自動車など)。向いていないのは、リース通達で売買扱いになる物件、陳腐化しない物件、長期間使用しない物件(土木建設機械などはレンタルの方が向いている)。

ユーザのメリットは、効率的資金運用、リース料の損金処理、事務の省力化、陳腐化への対応(常に最新設備を使えること)。リースの場合、法定耐用年数よりも短い期間(経済耐用年数)をリース期間にできるので、物件価額の全額をリース期間内に償却できるのと同じ効果がある。リース期間を法定耐用年数より長くすることで1年あたりの負担を減らすこともできる。ただし、原則として中途解約が認められない。

サプライヤーは新しい販促手段としてのメリットがあるし、リース会社への資金供給者である金融機関には新しい融資先を得られるというメリットがある。

リースと割賦販売の大きな違いは所有権が移転するか否か。リースの場合、物件所有権はリース会社が保有し続ける。税務上、リースの方が損金処理額を大きくできる可能性がある。

■著者プロフィール
森住祐治
1943年福岡県に生まれる。68年明治大学法学部卒業。通商産業省(現・経済産業省)関係団体を経て、1971年7月、社団法人リース事業協会に入る。現在、(社)リース事業協会常務理事事務局長。

0 件のコメント:

コメントを投稿