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10倍速く書ける超スピード文章術 (著:上阪徹)

 先月発売『10倍速く書ける超スピード文章術』(著:上阪徹さん)を読んでみた!


10倍速く書ける 超スピード文章術
上阪 徹(著)
5つ星のうち4.2
¥3,300 (コレクター商品)


文章が書くのが遅い。とにかく、相当に時間がかかる。最後まで書ききることができないことも多い。下書き状態の中途半端なブログ記事がどんどん増えていき、下書きフォルダをみるのが嫌になる。「よし、成仏させてやろう!」と意気込んでも、やっぱりダメ。昔のネタに対する情熱が消えているので、書ききるパワーが湧いてこない。やーめた。かと言って新しいネタを形にする力を振り絞る気にもならない。

何を隠そう、これは私とブログの関係だ(笑)。ブログ記事を書くのは、たまーに楽しい時もあるが、基本的には苦痛だ。なぜならすごい時間がかかるし、半分ぐらい書き終わってから、「これは流れが悪すぎる!」と反省して部分的に書き直しているうちに、気付けば全部書き直していたりすることも稀ではない。

リラックスしながら気軽に書く記事の場合は意外にささっと書けてしまう。

「使ってみた」「話しかけてみた」「こんな機能もあるのか〜」「すげ〜」とか思ったまま書いていくだけなので、あまり頭は使わない。極端な話、ビールを飲みながら適当に書ける系(笑)。

一方で、自分の考えが色々と盛り込まれている記事の場合は、その分、自分らしさが記事に出るので、ちゃんと読者に伝わるように意気込んでしまうし、立派な記事に仕上げようと悪戦苦闘する。しかしそうなると、恥ずかしながら一つの記事に5時間以上かかってしまうこともある。特に1万字を超えてくると、構成に細心の注意を払わないといけなくなってきたりして、文字数とともに指数関数的に負担が大きくなる気がする。

最近はブログを始めたばかりの頃と比べると遥かにマシになってきたが、それでもブログ恐怖症は残っている。「今回もすごい時間かかったらどうしよう」「せっかくの休日がブログに吸い上げられていく…!」など、不安が膨らむ。とにかく、まともな文章を書くというのは極めて高い知的レベルが求められるのだ。凡人のワシにとってはなかなか一筋縄ではいかへんのや。

でも、やはりたまーに、寝食を忘れるほどブログ記事作成に没頭できる時がある。

これらは最高に楽しかったなぁ。なのでそういう瞬間を味わえるのがブログの良いところの一つだと思っている。コレがあるから、ブログ恐怖症でも、結局ブログを続けることができているんだと思う。たまにめちゃめちゃオモロイ。それがあるからブログはやめられない。

10倍速く書けるだと!?


ということで、記事を仕上げるスピードをなんとか速めたいのじゃ。そこで読んでみたのが、先月発売されたばかりの『10倍速く書ける 超スピード文章術』。著者は上阪徹さん。本の紹介には、「第一線のビジネス書ライターとして活躍しながら、23年間1度も〆切を破ったことがない上阪徹氏の文章執筆スピードを極限まで上げるノウハウを全て明かす1冊」とある。ひえ〜!

こんな人が対象のようだ。

文章が苦手。書いている時間が辛い。メールも企画書もできれば書きたくない
最初の一行を書き出すまでに、ものすごく時間がかかる
文章がうまく伝わらない。しゃべって伝えることはできるのに
書き直しを何度も命じられて、いつまで経っても書き終わらない
数千字のレポートは、文字が埋まらなくて苦痛だ。
おお、オレのことじゃないか。

上阪さんの『リブセンス<生きる意味>』や『弁護士ドットコム 困っている人を救う僕たちの挑戦』は面白かったなぁ!!私は読んだことがないが、最近では『ライザップはなぜ、結果にコミットできるのか』『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか』などが売れているらしいので、どれかしら読んだことのある人もいるかもしれない。

ということで、内容を見ていこう。面白かったところのメモを紹介していくぞ。
内容レビュー!

文才はいらない


そもそも上手く書く必要はない。ブログ、報告書、企画書などなど、伝わることが重要で文章の美しさは必ずしも求められていない。国語教育でビジネス文章が一切登場せず偏っているので、多くの日本人の「文章」に対するイメージも偏ってしまっており、また無駄にハードルが高まってしまっている。「『文学』と『実用的な文章』の境界を教えてもらえなかった」とのこと。文才はいらない。気軽に書け。起承転結も気にするな!

文章を書く真の目的はなんだ?


重要なのはまずは何のために文章を書くのか。文章のための文章になっていないか。それは真の目的か。

例えば社内報のエッセイをお願いされた時に、真の目的が「職場では見せないパーソナルな姿を社員に紹介する」だとしても、それを知らなければ、どんな思いで業務に取り組んでいるか、将来はどういうことに仕事でチャレンジしたいか、などピント外れの内容に仕上がってしまう。文章をお願いされたときには、その真の意図を確認するところから始まる。

一人の読者を想像する


意図がわかれば、次に読者を決める。誰が読むのか。上司が読むのか。社長が読むのか。他社の社長が読むのか。中高生が読むのか。講演会に参加する人達はどういう人なのか。雑誌の連載を頼まれた場合は、その雑誌を読む人は誰なのか。

お勧めはココロの中に読者像に一致する一人の知人・友人を思い浮かべ、その人に向けて書くこと。その人が喜びそうな素材を選べ。平均的な人物に向けて書くと、結局誰にも伝わらない文章になってしまう。なので皆に向けて書くと失敗する。

自分はどう見られているか


自分がどう見られているかも重要。人が文章を読むときには、誰が発信しているのかを重視する。自分が他人からどう見られているのかも気に留めておく。『職業としての小説家』というベストセラーは、誰もが知る村上春樹さんが書いているからこそ面白いのであって、だからこそ成立する企画。フェイスブックでやたらと大言壮語な政治的発言を繰り返す人がいるが、「それをお前が言うか!」と思われてしまう。

素材をひたすら集める


書くことが決まったら素材を早速集め始める。素材がないのに書こうとするのは無駄が多く、時間もかかる。素材は至る所に転がっている。何か素材を発見したら、すぐにスマホにメモを取る。スマホのメール機能がお勧め。メールの下書きを大量に作っている。そこにどんどん付け足していく。あとで必ず忘れるので、すぐメモを取るのは重要。

コツは見たままに感じたことをすべてメモに残す。経営者の取材で「社長室に重厚感がある」と書いても読者には伝わらない。「壁やカーペットの色、テーブルやソファーの特徴、窓から見える景色など、『重厚感を象徴するもの』をメモしておく」とのこと。5感を使ってメモを取れ。

素材を集めるテクニックの一つとして、誰かに自分をインタビューしてもらうと良い。そうすると、自分はこんなことを考えていたのか、と驚くようなネタが次々と出て来る。

素材を常に集めようとする姿勢が重要。そうすると脳が無意識にそのテーマについて考えている。なのでそのネタになりそうなものに出会うと、脳がひらめくことができる。例えば電車に乗ろうとしている時に、「想像もしなかった物事や人の動きを見ていると、何かの拍子に、ひょいと連想がつながることが多々ある」とのこと。

文章を後から書くことが決まっているのなら、観察しまくる。例えば子供の授業参観の感想文を親が提出しないといけないなら、学校の雰囲気はどうか、自分が小学生だった頃と比べてどう違ったか、気になった展示物は、壁に張り出された習字はなんと書いてあったか、教室の匂いは、…などをどんどんスマホにメモしていく。こういうのは後から思い出そうとしてもほとんど思い出せない。あとからこのメモを見ながら文章を書くのは早くて簡単。

そうすることで、「書く前に、書く内容が準備されている状態になる。だから書くことに困らず、速く書ける」とのこと。

素材を読みやすい順番に組み立てる


集めた素材はまず、すべて「見える化」。このステップは外すと後から再度、素材を集めることになったりしてスピードが落ちる原因になる。次に、目の前にさっきの読者一人がいたら、どういう順番で伝えるかを考える。その人に話すような順番にするのがお勧め。

記事は一気に書く


記事や本を書くときは、一気に書く。完璧主義になってはいけない。誤字脱字も気にせず、とにかく最後まで書ききる。途中で修正したり、リンクを加えたり、正確な数値をググったりしていると、書くスピードが激減する。なのでとにかく書ききる。100%は目指さない。

推敲のコツ


見直しは次の日などに行う。推敲はマクロからミクロへ。マクロとは全体の構成。こういう流れで良いのか?などを確認する。次に各パラグラフを見ていく。最後に誤字脱字。

最初に誤字脱字をチェックしたとしても、結局その文章は消えるかもしれないし、あとでまた別の文章を追加したらそこに誤字脱字が現れるかもしれない。だからこそ最後。ということでマクロからミクロという順番を守ることで、無駄が最も少なく、速いスピードに繋がる。

形容詞は使わない


形容詞を使わない。「遠足が楽しかった」というのは幼稚な文章。「楽しかった」というのを具体的な事実に置き換える。例えば「すごい寒かった」という文章を「温度計は−5度を指していた」「手袋をしても、手がかじかむくらいだ」のように。

伝えたい、ということが重要。そういう書き手の気持ちが相手に伝わるかどうかが結局文章を書く楽しさとも言える。


学んだポイント!


他にも紹介しきれなかったポイントが本当にたくさんあってマジ良書。(あ、ヤバイ、形容詞使ってしもた(汗))最後に3点に絞って自分のコメントを付け加えておこう。

①素材の重要性を再認識した。普段からいかに素材を集めているか、そしてその素材の記録をどれほどちゃんと残せているか。もしブログ記事を書くことが決まっているのなら、その事柄を体験している最中から、どんどんメモを残さなければならないということになる。その量・質がブログ記事の執筆スピードをほとんど決めるんだろうな。この「準備」の部分にもっと注力したいね。今までのブログ記事を見直しても、事前に素材を準備できていた記事は速攻で書きあがったからな。


②二つ目は記事作成の流れが勉強になった。マクロからミクロへ、というのは身につけたい。いつも何度も記事を読み直してはちょこちょこ変えるという、ミクロからミクロへという推敲方法に陥っていたので参考になった。確かに一々リンクを貼ったりすることでライティングのリズムが途切れるよな。

③一流のプロの人でも3000字の記事は1時間かかるということがわかったので、それが基準になりそう。ブログ界隈では「ブログ記事は30分以内に書き終わる」というような話が一つの基準になっているようだが、これを達成できたことは上記の「アイデア大全」の記事を除いてほとんどないので、少し安心した。一流のプロと比較しても意味はないかもしれないが、「3000字を1時間で」というのを一つの目標にしていきたい。

終わりに


「文章を書く」ことをテーマにした本は他にも何冊か読んだことがあるけど、今回は非常に実践的だったので、すぐに普段のライティングに応用できそう。このベクトルで努力すれば確かに伸びそうな予感もするな。ワクワク。ブロガーの人には特にお勧め!



著者について

ブックライター。上阪徹事務所代表。「上阪徹のブックライター塾」塾長。
担当した書籍は100冊超。携わった書籍の累計売上は200万部を超える。
23年間1度も〆切に遅れることなく「1か月15万字」「5日で1冊」書き続ける超速筆ライター。
1966年兵庫県生まれ。85年兵庫県立豊岡高校卒。89年早稲田大学商学部卒。
ワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスとして独立。
経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに雑誌や書籍、
webメディアなどで幅広く執筆やインタビューを手がける。
これまでの取材人数は3000人超。
主な寄稿媒体に『GOETHE』(幻冬舎)、『AERA』(朝日新聞出版)、『週刊現代』(講談社)、
『就職ジャーナル』(リクルート)、『リクナビNEXTジャーナル』(リクルート)、
『東洋経済ONLINE』(東洋経済新報社)などがある。
著書に『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)、『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(あさ出版)、『職業、ブックライター。』(講談社)、『成功者3000人の言葉』(飛鳥新社)、『リブセンス〈生きる意味〉』(日経BP社)など。
インタビュー集に、累計40万部を突破した『プロ論。』シリーズ(徳間書店)、『外資系トップの仕事力』シリーズ(ダイヤモンド社)などがる。

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